>>刑法犯:4年連続で減少、検挙率7年ぶりに30%台に

 全国の警察が今年1〜11月に認知した刑法犯件数は189万4677件(前年同期比9.9%減)で、4年連続で減少したことが警察庁のまとめで分かった。検挙率は31.5%(前年同期比2.1ポイント増)で99年以来7年ぶりに30%台に戻った。同庁は「減少は政府全体の犯罪抑止対策の効果だが、さらに抑止に取り組みたい」としている。
 犯罪罪種別では、凶悪犯9345件(同10.9%減)▽知能犯7万7115件(同14.3%減)▽窃盗犯141万7311件(同11.4%減)で、いずれも前年より減少したが、暴行などの粗暴犯は7万108件で3.7%増加した。
 暴行事件では、街頭での事件が約6割を占め、96.3%は凶器を使っていなかった。検挙者は30代が目立っているといい、同庁は「ささいなことでキレる大人が増えている」と分析する。
 また、知能犯のうち詐欺は4年連続で増加していたが、振り込め詐欺対策の効果などで6万8201件で前年より13.5%減少した。談合・競売入札妨害事件の摘発も全国で相次ぎ、検挙件数は35件で、昨年の17件を上回った。
 一方、殺人、強盗、放火などの重要犯罪の認知件数は1万7283件で前年より8.9%減少したが、検挙率は59.7%にとどまった。同庁の漆間巌長官は「国民の体感治安のアップには重要犯罪の検挙率を上げていくことが必要。重要犯罪の検挙に一層力を入れたい」と話している。【遠山和彦】


 毎日新聞より。
 最近、犯罪統計ばかりについてコメントしていますが… 認知件数や検挙などの「警察の動向」をベースに「治安」を語れるのか疑問に思っています。これらの数字から、「治安」を語るのであれば、警察の犯罪検挙や犯罪のカテゴリーに関する方針を詳細に説明するしかないのではないでしょうか…
 また、「体感治安にアップには重要犯罪の検挙率を上げていくことが必要」という方針には、何か根拠はあるのでしょうか。「体感治安」とはそもそも実態のないものでしょう。体感治安が改善されたとか、悪くなったとかそういう概念があるかも疑問です。また、検挙率の増減が「体感治安」に影響しているかどうかについても、実証的な根拠があるようには思えないのですが…
 背景について十分な説明のない「数字」、合理的な根拠や検証のしようのないポリシーで、昨今の「厳罰化」などの効果が評価されることについては疑問があります。さらには、「犯罪抑止」のために何が犠牲にされているのかという面の検証も必要でしょう。「治安のためには何を犠牲にしてもいい」ということにはならないでしょうから。特に、その「治安」の内容が不明確な現在では…