窃盗容疑、岡山県警が18歳少年を誤認逮捕


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061008i314.htm?from=main3

岡山県警山東署が、先月25日に窃盗容疑で逮捕した岡山市内の飲食店員の少年(18)について、今月6日、誤認逮捕だったとして釈放していたことが8日、わかった。
 県警は「誠に遺憾。再発防止の指導を徹底する」としている。
 県警によると、同市内で3月下旬〜4月中旬、2人組によるひったくり事件が3件あり、7月に同署が市内の中学3年の男子生徒(14)から任意で事情聴取したところ、「店員と一緒にやった」と話したため、少年を窃盗容疑で逮捕した。
 しかし、少年は容疑を否認し、その後、生徒が同級生の男子生徒(15)の関与を打ち明け、「同級生をかばうため、店員の名前を出した」と話したという。
 しかし、少年は別のひったくり事件への関与を認めており、同署が事情を聞いている。


日本における逮捕実務の問題、取調べ実務の問題を如実に表しているものであるといえるのではないのでしょうか。つまり、逮捕に対する司法のチェックがやはり不十分であること、「任意で事情聴取」が真の意味での「任意」ではないこと、そして少年に対する取調に対する配慮不足がうかがわれることなどです。
 そもそも、「逮捕」というのは、国際的な基準に照らせば、逮捕後の勾留という身体拘束を裁判官が判断するために、裁判官の面前に被疑者を連れて行く行為のことです。どこかに被疑者を閉じこめる行為ではありません。しかし、日本の現実は、「逮捕」は結局被疑者を警察署に閉じこめる行為であり、その状態を利用して延々と取調べを行うということが続けられています。これが「代用監獄問題」といわれる問題です。そもそも対立する者の手元で身体が拘束されることは不公正といわざるを得ない状況です。しかし、それ以上に、第三者の目が行き届かない警察という組織の中で生活を監視・統制され、その上で自白を強制されるというシステムは、警察官が一生懸命になればなるほど被疑者に心理的圧迫を与え、不当な自白を強制することになるという結論を導くことになってしまっていることは、今まで以上に強調されるべきでしょう。
 この事件は、この少年や取調べを行った警察官個人のみに原因があるというより、このような自白強制システムに原因があるというべきではないでしょうか。逮捕の謝った理解、代用監獄、取調べの不透明性。これらの問題が解決されない限り、日本の刑事司法の将来は暗いと言わざるを得ないように思います。
「再発防止の指導を徹底する」では解決できない、構造的な問題と言うべきでしょう。